負けは想定内

最近、視聴者の方から沢山コメントいただくようになって、とても有難いなぁ、と思っているのですが、コメントの回答でこのようなことを書かせていただきました。

たんたんの相場心得「負けは想定内、勝ちは想定外」

今日はこの中で「負けは想定内」という話をさせてもらおうかな、と思います。

これは端的に言えば、「ちゃんと損切りを決めてからエントリーしましょう」ということなんですけど、なんだそんなことか、当たり前じゃんと言われると思いますが、実際には全く出来ていないと思います。なので今日は「負けは想定内」ってどんなこと、というのを深堀していきたいと思います。

人はなぜ恐怖・不安を感じるのか

話は変わりますが、人はなぜ恐怖や不安を感じるのでしょうか。人が恐怖や不安を感じるのは、

ある事柄に対してリスクを評価できない・(評価しない・目をそらす)ときや、

この後に起こる事象が予測できない(予測しない・考えない)と人は恐怖や不安を感じる

人は恐怖・不安を感じることで、抑制がかかり行動しなくなります。そうすることで人類は天敵や危険に遭遇する確率を減らし存続してきたそうです。恐怖・不安は人類にとって必要不可欠な感情だったわけです。

コロナショック

昨今のコロナに対する反応はどうでしょうか。

リスクを正しく評価して、そのリスクに対して正しい行動をとれているといえるでしょうか。そもそもコロナに対するリスクを正しく評価するどころか、自分で考えることすらしていないと思います。

コロナに対する正しい行動は、手洗い・うがい、マスク、3密を避ける、あとはワクチンを打つことくらいです。それにプラスするならば、健康的な食生活と適度な運動で自分自身の健康管理をしっかりすることだと思います。コロナに対して一般人ができることは、最大限でこれくらいです。

それ以外のことは一般人ではコントロール不能なので、何か起こったら、その時にリスクリワードを評価して、次の行動を決定すればいいだけの話です。分からないことを必要以上に恐れるのは無意味ですし、エネルギーの無駄です。

メディアが「コロナ感染者が急増」と煽れば、蔓延防止法が発動されます。

これは政治家がコロナに恐怖して衝動的に蔓延防止法を決定しているわけではありません。コロナに対する正しい知識がなくリスクを客観的に評価することをしない(できない)一般大衆が、コロナに対し過剰な恐怖・不安を感じ、自粛ムードを高めることで、政治家は世論の声にこたえるように蔓延防止法を発動します。政治家は自分の選挙のために、政治家にとって正しい選択をしているわけです。ただ自分は政治家の選択が、日本や社会全体に対して必ずしもいいとは思ってませんけどね。

自分はと言えば、蔓延防止法発動下に家族で温泉に行ってきました。家族で1泊6万円ほどするところが、あれこれ自治体や旅行サイトの割引を活用して実質2万円で行っています。すごくないですか! 旅館も対策はしっかりしてますし、温泉も混雑してません。最低限のコロナ対策エチケットを守れば、コロナに感染するリスクは限りなくゼロです。旅行もこうゆう逆張り的な発想ありだと思います。

トレード感じる恐怖、なぜ損切りできないのか。

話を元に戻します。

トレード中に恐怖や不安を感じたことはないでしょうか。またなぜ損切り出来ないのでしょうか。エントリーの瞬間に考えていること、その時の感情、気持ち、なぜその場面でエントリーしたのか、後からでも考えた事ありますか?

だいたいエントリーの瞬間はこんなことを考えていると思います。

「あっ、ブレイクアウトした。ここでショートで爆益だ」
「あっ、今エントリーしないと乗り遅れる」
「エントリーサインが出たぞ。サインははっきり出ている、勝てるはずだ」
「ここから下がりそうだから、とりあえずショート」

このように大体利益の乗っかることしか考えていないと思います。一応損切りラインは設定しますが、予想に反して逆行し含み損がどんどん増えると、恐怖と不安が入り混じります。結果、エントリー時に決めた損切りラインを超えても損切りできません。想定外のことが起こったからです。エントリー時に巡行して利益がのっていくイメージしか頭にないためこうなります。

人は見たいものしか見えない

このエントリー直前のこの感情は「確証バイアス」という認知バイアスの1つになります。確証バイアスとは「自分にとって都合にいい情報だけを集めようとする心理状態」だそうです。あのローマの軍人カエサルはこのような言葉を残しています。

「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人たちは、見たいと欲する現実しか見ていない」
「人々は自ら欲することを信じる」

人はこのように「自分の見たいものしか見えない」ように出来ているそうで、これもおそらく人類が存続するために必要な機能だったのでしょう。

認知バイアスの別の例をあげましょう。

赤い新車を買ったします。すると今まではそれほど目に留まらなかった赤い同型車を購入直後はよく見ることが増えた、という経験はないでしょうか。自分はあります。妻の車を買ったときがそうでした。このように認知バイアスは人間の本能的な機能、全ての人に等しくデフォルトでこの機能が脳に備わっています。トレード中も常に認知バイアスが機能していますので、このことを知っておく必要があります。

自分もトレードでいまだに確証バイアスにかかっている場面があるなぁ、と思うことがあります。日足予報を毎日やっていますが、目線が売りに傾いていたり、買いに傾いていたりして、動画とった後に「あれ?」と思うことも多々あります。なので皆さんは日足予報は参考程度にして、相場見解の1つくらいに引いた目で見てもらい、自分で相場を俯瞰していただきたいと思います。

ここから本題

想定外の逆行があるから、恐怖や不安を感じ、損切りできない訳です。つまり逆行シナリオを事前に用意しておけば、恐怖や不安を感じることはありません。仮に逆行しても「まぁ仕方ないな、損切りするか」とさっぱり切ることが出来ます。では、そんなエントリーポイントはどんなところなのか、これから見ていきたいと思うのですが、その前に注意点があります。

「負けても想定内」になるためは・・・

「負けを想定内」と思えるようになるためには、値動きに習熟する必要があります。

相場は「単なるレジサポの攻防」だと今では自分は思っていて、自分の思うレジスタンスからショート、サポートからロングだけをやっています。この「自分の思うレジサポ」は自分は長年チャートに向き合って得られた感覚です。また少しくらい逆行しても戻ってくる可能性が高く損切りも極小にできるポイント、なんならナンピンしてもOKなポイントからしか今はエントリーしません。それも自分のなかでルール化しました。

そうなるためには皆さんもチャートに向かい合い、自分でその感覚を身に着けることが必要です。人から教えてもらったものは、心底信頼して使い切ることができないからです。
特に巷で売られている手法に固執すると「確証バイアス」だけでなく、他の認知バイアスにもかかってしまいます。認知バイアスから逃れるための話もあるのですが、これはまた別の機会にします。

今回は自分が見つけたパターンを少しお伝えしますので、ご自身のトレード・手法開発のヒントにしていただければ幸いです。

ドル円 2022年1月24日(月)

上図は1月24日朝時点のドル円チャートです。

相場環境

  • 日足:ダウは上目線の上昇トレンド中。113.5円で安値切上げており、押し目候補レート
  • 4時間足:日足113.5円から押し目入るも、115円でレジされ下落。前週安値113.5円からは切り上げて前週終値は閉じた。買い手からすればダブルボトム状態。売り手からすれば前週安値を更新すれば、H4レベルの逆N完成
  • 1時間足:H1SMAの下にレートがあり、売り先行。前週安値113.5円からは安値を切り上げている状態。1/22(金)は114.0でレジサポ転換している。
    サポート候補  :113.5、前週安値、金曜安値
    レジスタンス候補:114.0、金曜高値、H1SMA100

トレードプラン

  • ブル:日足ダウ上目線、H4Wボトム安値切上げ、113.5からロング。目標レート113.5。上位足は下目線なので伸びきったところで全利確
  • ベア:114.0でレジ確認してショート。多少114.0を上抜いても高値が連続しており、H1SMA100も右肩下がりでレジ候補、上げ止まりからショート。第1目標113.5。第2目標113.0

エントリーポイント(1月25日朝時点のチャート)

上図は翌1月25日(火)朝時点のチャートです。日足は陽線となりましたが、欧州時間に金曜高値から切下げて、114.0にも届かないところから売りが入りました。自分もこの辺りからショートしてます。エントリーポイントは黄色ラインです。自分ルールでは複数エントリーのタイミングがあります。多少逆行してもナンピンすることも想定してエントリーしています。

損切り・逆行シナリオ(下図の3つ目)

エントリーポイントからいきなり逆行してトレンド転換するシナリオが3つ目のチャートです。赤ラインが損切りポイントです。仮に逆行しても損切りはこれだと10ピプス程度に抑えられます。

またこの逆行シナリオは自分が見るとかなり無理のある値動きに見えます。もしそのように無理のある値動きと感覚的に分からないのであれば、まだ相場感がついてないということです。なぜこの逆行シナリオが無理のある値動きに見えるかというと、トレンド転換のためにH1SMA100まで上昇しても押しを付けるためにまず114.0まで戻って来ます。
そこから押し目が入って高値を更新すれば上にトレンド転換となりますが、この場合、114.0の押目も崩れて直近安値の金曜日の安値や113.5円まで行く可能性が高いです。
この辺りの相場感は経験によるところが大きいですが、自分にはそう見えました。

日足予報の動画作成時やエントリー前にこのようなことを考えてトレードをしています。

ポンドドル 2022年1月24日(月)

上図は1月24日(月)の朝時点のチャートとトレードプランです。

相場環境

  • 4時間足:4週続いた上昇波の調整局面。前週終値1.355は押し目候補。サポート候補のH4SMA100もデッドクロスし、H4でも確認できる逆N波動が見える。短期足は下目線
  • 1時間足:H1SMA100もレートの上にあり右肩下がり、デイトレは売り先行。
         サポート候補の1.335では下げ止まったが、安値切り下げ中。チャート左側にはラインが引けそうな安値が連続しており直に下がるかは分からない

トレードプラン

  • ブル :1.335のサポートでロング。目標レートは1.360まで。H1SMA100とちょうどランデブーするので、バイイングクライマックスで全利確。ドテンショートも準備
  • ベア1:戻り売り候補は、1.360、H1SMA100。1.365。戻り売り候補のレジスタンス確認 or バイイングクライマックスをみてショート。第1目標1.355、第2目標1.350
  • ベア2:1.335のサポート崩れでショート。この場合、M5移動平均手法が使える。H1チャートで確認できる安値が連続するので、赤ラインの値動きは注意。
        この場合は第一目標1.350、第ニ目標1.345

上記は1月24日(月)終わり時点のチャート(H1、M15エントリーポイント、M15損切り・逆行シナリオ)

エントリーポイント

東京時間はヨコヨコ相場。この時点で1.355のサポート崩れシナリオが濃厚と判断。欧州時間初動、サポート候補だった1.355をブレイク。前日安値を更新。1.355のレジサポ転換期待でM5ロウソクの上ヒゲから逆張りショート。

その後は巡行、第一目標の1.350もブレイクして第二目標1.345にタッチで全決済

損切り、逆行シナリオ(下図の3つ目)

1.355のサポートが崩れかかっており、各MAも右肩下がりのパーフェクトオーダー状態。こちらは経験上逆行シナリオがほとんどない。多少エントリーポイントから逆行してもM15/M30のSMAも戻り売り候補になるので、そこからナンピンショートも承知でエントリーを実施している。

100歩譲って損切りする場面になったとしても一度はエントリーポイントまで押しをつけに戻ってくるので、ストレスなく恐怖や不安もない。

まとめ

  • トレードの大敵である「恐怖と不安」は想定外の出来事に遭遇した時に生じる感情
  • 「恐怖と不安」の感情を抱くのは人類が存続するために必要だった脳機能で、この基本機能を外すことは不可
  • 損切り出来ない原因となる「恐怖や不安」に陥らないトレードをするためには「負けを想定」することが必要
  • しかし脳には「確証バイアス」という機能もあり、「見たいものしかしか見えない」ように出来ている。であるから、人は負けをシナリオ考える前に「確証バイアス」が働き、利益がのる巡行シナリオを先に頭に浮かび、それがもとに行動をしてしまう。この「確証バイアス」も脳の基本機能で外すことは不可。
  • トレードで勝っていくためには、「確証バイアス」の存在を知り、常に意識すること。

バイアスとの付き合い方については、また別の機会にしたいと思います。最後に

「負けも想定内」を会得するには、認知バイアスを理解し、あとは修練あるのみ

淡々とトレード頑張っていきましょう! ではでは